中国維権動態2016年5月8日号(中国維権網)より。
翻訳:麻生晴一郎
◎4月23日、遼寧省の陳情者・郝威が北京で陳情活動の最中に、公安部陳情接待部門の警察に無理やり陳情接待室に連行され、暴行を受けた。郝威は自身が末期癌患者であることを伝えたが、警察は殴打を続けた。彼女は北京市朝陽区恒興腫瘍医院に入院しており、上海の人権擁護活動家の周洪宝、戴中耀、虞春香、顔蘭英、顔秀英の5人が彼女を見舞った。
◎5月2日、譚作人らボランティアにより、広東省陽春監獄にいて病状が悪化しながら有効な治療が受けられないでいる著名な人権活動家・郭飛雄を救うための絶食活動が立ち上がった。絶食活動は、陽春監獄が郭飛雄の生存権をないがしろにしていることに抗議するため、郭飛雄が有効な治療を受けられずにいる状態を回避するため、そして郭飛雄に即時に有効で理に適った治療を行い、基本的な生存権と健康権を保障するよう当局に促すことを目的としている。この活動は自主的に申し出ることで参加でき、活動規則の遵守を原則とし、郭飛雄の健康状態が改善するまで続けられる。
◎馮正虎ら上海市民が今年2月19日、法院(裁判所)が訴状を受け取らず立案しなかったり裁定・決定を下さずにいるなどの違法かつ紀律に反した状態を徹底的になくし、法や紀律に則って関係者の責任を追及することを求めた連名書簡を習近平および全人代常務委員会あてに送った件で、5月2日、馮正虎ら66名が上海市浦東新区法院立案一庭の童凌庭長を告発した。馮正虎らは、童凌が立案登記制に違反し原告らの訴訟権を侵犯した違法行為の責任を法にもとづき追及し、彼の官職を解き、彼が属する浦東新区法院が馮正虎ら14名の訴訟権を保障するとともに訴訟権を侵犯された彼らに謝罪し国家賠償を果たすことを要求している。
◎5月4日、湖南省衡陽県の1000人以上の教師が県政府の前で給与支払いを求めた。近年、衡陽県では教師への給与の遅延、カットが続いており、同県の財政担当の蒋達宏副県長は大勢の教師に対し「政府は教師のお金が不足しているが、われわれはお金を必ず返し、踏み倒しはしないと誓う。県の財政は給与の保障を優先する」と語っていたという。一部の教師が公開したビデオ映像には、1000人以上の教師が県政府の正門の前に集まっていたほか、政府の警官もおり、双方の衝突が映し出されている。翌日、教師の人権代表者・李龍君が県の警察に捕まり、もう1人の人権代表教師の曲来法も中央広播サイトの取材を受けたために捕まった。
◎5月5日午前10時20分、青島市政府の職員による建設分野での腐敗を告発して逆に「違法爆発物製造容疑」に問われた隋双勝に対する裁判の3回目が青島市第一看守所の法廷で開かれた。無罪を主張する隋双勝の弁護を担当する刑事弁護のベテラン・張賛寧弁護士が看守所を訪れた。青島市北区法院の裁判官・厲建軍と人民陪席裁判官の单美麗、趙珈芸の2名は1時間遅れて到着し、裁判の結果、隋双勝の罪が成立し、5年の有期刑が下された。
◎5月6日、北京で陳情活動を行なっていた天津の人権活動家・唐新波によると、同日朝4時50分頃、大量の警察車が呂村にやって来て呂村の駅および各道路を封鎖し、陳情者に対しての無差別の摘発を行なった。湖北省の陳情者・田青栄、四川省の陳情者・唐春栄ら多数が662路バスに押し込められて連行された。
◎5月6日、内蒙古自治区の前政治犯のハダの妻・シナーからの情報によると内蒙古自治区ウラド地区の牧民5名が訴えの最中に現地の警察に連行された。彼らが訴えたのは、ウラド中旗新忽熱ソム蘇龍嘎図村の1000ムー以上の集団牧草地が長年にわたって現地幹部により勝手によその漢族・葛某に貸し与えられ、現地の牧民はなんら収益をあげることができないこと、そして村の財政帳簿が混乱し、集団財産が著しく流用されていることによるものである。このため現地の牧民はずっと陳情活動を続けている。
◎5月6日、政府恐喝および騒動挑発罪で13年の刑を受けている吉林省の陳情者・郭洪偉の病状が悪化し、吉林省新康監獄特別管理区に移されて治療を受けることになったが、生命が危ぶまれている。妹の郭宏英が鎮賚監獄の警官2人の随行のもと彼に会ったが、重度高血圧に達している上に腺窩性小梗塞を多発しているとして警察は配合剤治療を要求している。当日、主治医がいなかったため治療プランはわからないが、彼には西洋薬アレルギーがあり、もし強制的に配合剤治療をしたならば生命も危ぶまれる可能性がある。
◎河南の女性陳情者・張淑平は許昌市魏都区法院の1審で公務執行妨害により1年6ヵ月の有期刑の判決が下されていたが、5月8日に維権網に入った情報では先ごろ2審の許昌中級法院は「原判決は事実が不鮮明で証拠が不十分」であると差し戻しを命じた。弁護士はこの処置を評価しながらも法にもとづき直ちに判決を改めるべきだと語った。
◎5月8日正午12時過ぎ、冉崇碧は重慶に戸籍がある陳情仲間の鄧光英と李家坤を伴って北京市公安局豊台分局雲岡派出所に行き、全人代の期間に没収された金品の返還を求めた。しかし返してくれるどころか、派出所長の李会強および警部の龍騰飛から携帯電話を取り上げられ、2時間あまりにわたって交渉したものの、派出所は返還を拒否した。