【最近の大陸での人権・規制状況】中国維権動態2016年5月22日号(中国維権網)より。翻訳:麻生晴一郎氏

發佈時間 : 2016-5-29 23:58:29

中国維権動態2016年5月22日号(中国維権網)より。
翻訳:麻生晴一郎

◎5月10日午前1時40分、安徽省蕪湖市鳩江区万春新苑に住み、村幹部の腐敗を実名で告発した水心道が、経営する店の外で2人の暴徒に襲われ、膝を粉砕骨折するなどの怪我を負った。警察が捜査しているが、彼の家族は誰かが暴徒を雇ったのではないかと疑っている。水心道は土地の接収に遭って苦心して育ててきた畑を失ったことから訴訟や陳情を行い、さらに村幹部が行なった土地の接収・立ち退き事業における腐敗行為を紀律検査委員会にあてて実名で告発している。

◎5月13日に維権網に入った情報では、4月13日午後5時、山東省無棣県埕口鎮李家山子村の村民・李淑華は、四川省綿陽市涪城区の捜査チームから夫・李松山の遺体を受け取ってほしいとの電話を受けた。彼女たちが同16日に綿陽市公安局を訪れて担当者から聞かされたのは、李松山には強盗・警官襲撃の疑いがあり捕まえようとした中で警官に射殺されたとのことだった。疑問に思った家族が質問書を提出したが、警察から回答はなく、李家山子村ではこの件に関する公安・法執行機関の公正・明確な説明を求める声が上がっている。

◎2015年11月12日にタイから強制送還された人権活動家・姜野飛が、5月14日に重慶公安局から「国家政権転覆煽動罪」および「組織他者密出入境罪」容疑で正式に逮捕された。姜野飛は四川省成都市の人で、2015年4月に国連の正式な難民に認定され、さらに11月11日にカナダに受け入れられることが決まったにもかかわらず、11月12日に中国政府はタイ政府と共謀して彼を中国に強制送還させている。

◎5月15日夜、重慶市万州区の慈善活動者・崔斌が身分不明者に襲われて両手を負傷した。彼は万州山峡医院の救急科で治療を受け、警察にも通報した。彼は2012年2月29日に自殺を図ろうとした女性を救出したが、警察・消防の救助活動を手伝った際に消防隊員によって左膝に傷を負わされた。莫大な医療費がかかるために十分な治療ができず障がいが残った中、行政はこの件に関して聞く耳を持たず、なんら援助や補償を行わなかったので、やがて彼は陳情者となり、病状悪化が伝えられる著名な人権活動家・郭飛雄を救うための絶食行動に加わるなど人権関係の活動も行なっている。

◎買春容疑で死に至った雷洋事件を担当する著名弁護士・陳有西の新浪微博のブログが5月16日以来、何度も外部操作され、閉鎖や攻撃を受けている。陳有西がブログで発表した話では、雷洋事件を担当して以来、ブログは転載禁止、続いて遮断、その後に発信制限という3通りの操作を受けている。同時にコメント欄には誹謗中傷のために雇われた者による侮辱や罵りの言葉が寄せられている。

◎雷洋の変死事件は全国の公衆・メディアに警察に対する関心と不安をもたらしており、この件がいかに公正に処理されるかは、各人の安全と絶対的利益に関わる問題である。5月17日、程海ら20名の弁護士が法律家としての意見を述べ、本件では警察や関係人物による犯罪の疑いがあり、即座に職権乱用罪にもとづいて責任を追及した上で故意傷害罪や故意殺人罪が該当するかを捜査し、その上で相応する罪を追及するべきだと述べた。

◎5月17日に維権網が把握した情報では、2014年に拘束されたまま病死した女性活動家・曹順利の件の真相究明を求める「曹順利権利擁護団体」に所属し、北京で何度も陳情活動を行なった遼寧省の女性活動家・朱貴芹に対する騒動挑発罪の2審裁判が終わり、1審の有期刑1年6ヵ月が支持された。彼女の家族は撫順市順城区法院から「刑事判決書」を受け取った。彼女は昨年3月7日に北京市豊台区の借間で北京の警察により久敬荘へと連行され、撫順市政府北京駐在事務所の陳情妨害スタッフによって撫順市順城に連れ戻され、やがて「騒動挑発罪」により撫順市第一看守所で刑事拘留を受けていた。

◎5月18日に維権網が把握した情報では、人権活動家の幸清賢は失踪状態を強いられてから225日目に天津の警察に「組織他者密出入境罪」で逮捕された。幸清賢は2015年10月6日に人権派公民の唐志順とともに人権派弁護士・王宇の子・包卓軒をアメリカ留学させようとしてミャンマー・モンラ市の華都賓館の部屋で国境を越えてきた中国の警官に連行され、翌々日の8日に成都市にある家が包卓軒の暮らす内モンゴル・ウランホトの警察によって捜査され、以来失踪状態が続いていた。現在は天津市第二看守所に拘束されている。

◎5月20日11時頃、李和平弁護士の妻・王峭岭とフリーの女性記者・趙思楽は内モンゴル・ウランホトの王宇弁護士の実家を訪ね、昨年の「7・09一斉拘束」で捕まった王宇弁護士の妻子を見舞おうとしたが、日夜監視を続ける警察が大挙して2人を捕まえ、付近の勝利派出所に連行した。2人は携帯電話を没収された。

◎5月20日午後、北京の人権活動家・季新華と遼寧の陳情者・祝忠孝が、季新華が住む呂村で朱家坟派出所の警察に捕えられ、その後、北京市治安総隊に連行された。季新華たちは5月18日に永定門の国家信訪局の入口の前で「買春」で死亡したとされる雷洋を支持する横断幕を広げたが、これが捕まった原因である可能性がある。ほかにも郭飛雄や丁漢忠を声援したことや、警察が故意に銃殺した疑いのある範華培の関連の可能性もある。