中国を代表する人権派弁護士で、インターネット上で公共秩序を乱し民族の憎悪をあおった罪に問われた浦志強氏(50)に対する判決公判が22日、北京市第2中級人民法院(地裁)で開かれ、同法院は懲役3年、執行猶予3年の判決を言い渡した。担当弁護士によると、浦氏は同日、拘置施設から出所した。当面は当局の監視下に置かれる。
中国メディアによると、浦氏は中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」上で、全国人民代表大会(国会に相当)の代表選挙のやり方や新疆ウイグル自治区で起きた暴力事件をめぐり、中国政府の少数民族政策を批判するコメントを書き込み、治安当局がこれを問題視した。
浦氏は昨年5月、民主化運動が武力弾圧された天安門事件(1989年)の真相を追究する研究会に出席した後、拘束され、今年5月に「民族の団結を破壊し、社会に悪影響を与えた」として起訴された。
中国の裁判所は昨年、浦氏と同様に当局の少数民族政策を批判した元大学教師、イリハム・トフティ氏に無期懲役の判決を下した。このため、22日の判決前、浦氏の支持者の間では「厳しい判決が下されるのではないか」などと心配する声が上がっていた。
執行猶予付きの判決が下された理由について、北京の人権活動家は「高い知名度を誇る浦氏を支援する輪が国内外で広がっており、当局には言論弾圧や人権状況への国際的な批判をかわす狙いがあった」と分析。その上で、「予想より軽い判決とはいえ、理不尽な形で有罪となったことに変わりはない。今回の判決で、当局による言論弾圧が緩和されたと判断するのは大間違いだ」と話している。
浦氏は「人権侵害の象徴」といわれた労働教養制度の廃止を推進するなど、人権や民主化問題で積極的に発言し、行動した。
欧米諸国や人権団体は逮捕直後から「政治迫害だ」などと主張し、無罪釈放を求めていた。22日も同法院の前では支持者ら数十人が無罪を訴え、私服警察官らともみ合う場面もあった。